1.『ブレードランナー』
ついに先日、待ちに待った『ブレードランナー2049』が公開!
巷では、空前の「ブレラン」ブーム到来。
第1回目は、SF映画の金字塔とも言われる
『ブレードランナー』(1982)について書きます。
『ブレードランナー』(1982)
原題:『BLADE RUNNER』
監督:リドリー・スコット
脚本:ハンプトン・フィンチャー、デヴィッド・ピープルズ
音楽:ヴァンゲリス
配給:ワーナー・ブラザーズ
原作:フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
2019年、退廃した未来都市・カリフォルニアを舞台に
レプリカント(人造人間)と人間の戦いを描く。
公開当初、スティーヴン・スピルバーグ監督の『E.T.』(1982)に押され
興行収入は奮わなかったそうです。
監督は『エイリアン』シリーズで有名な、リドリー・スコット。
彼の作品では、人類をテーマにした近未来SFの中でも絶望色が強く、
この『ブレードランナー』でも
地球の絶望的な未来が舞台になっています。
当時の人々が想像する未来とは、すべてが清潔で美しく、
近代的な建物が立ち並ぶ洗練された世界でした。
しかし、『ブレードランナー』で映し出される未来は、
退廃的で汚く、モラルなど存在しません。
環境汚染のため人間の数は減少し、数少ない人々は
生命維持するのがやっとです。
非常に無機質なキャラクターとして描かれ、
彼には希望もなく、痛みを感じることもほとんどありません。
それとは対照的に、
レプリカントの方は人間よりも人間らしく描かれています。
レプリカント反乱子の一人、ロイ・バッティ(ルドガー・ハウアー)は
生きることに執着し、自分の仲間の死を心から悲しむ。
彼はデッカードに痛みを思い出させ、生きるとは何かと問いかけるのです。
先日、おさらいも兼ねて丸の内ピカデリー爆音上映会にて
やっぱり、何度見ても面白い。
スクリーンに映し出される映像美に改めて感動してしまいました。
ー『ブレードランナー』の音楽ー
『炎のランナー』(1982)アカデミー賞作曲賞を受賞しました。
↑若かりし頃のヴァンゲリス
映画における音楽は、大体の場合、制作過程において
最終工程に回されることがほとんどなんですが、
『ブレードランナー』では映像とほぼ同時進行で音楽が制作されました。
それは、現在でも非常に珍しいこと。
リバーヴと呼ばれる反響音を効果的に使いました。
それは、音楽というよりも、もはや効果音に近いものもあるが、
一つの音にリバーヴをかけるだけで宇宙的な広がりを感じさせます。
それまでのSF映画の音楽では、よく、「ピコピコ」した
聞き慣れない電子音で未知の雰囲気を作り出していました。
しかし、その「ピコピコ」が、作品全体のB級感を
増長させていたのも否めない事実です。
新しいSF作品を作りたかった。それは音楽においても同じでした。
デッカードとレイチェルのキスシーンのために、
ヴァンゲリスは「愛のテーマ」を書き上げました。
この曲では、宇宙的な効果音とは正反対に、
色っぽいサックスのソロがロマンチックに鳴り響き、
デッカードの中に芽生えた”人間らしさ”が表現されています。
ヴァンゲリスは、効果音と音楽を美しく融合させました。
『ブレードランナー』は映画音楽界においても
新しい風をもたらしたのです!
『ブレードランナー』なしではSFは語れないと言っても過言ではありません。
彼らは、興行収入や評判を気にせず、
とにかく自分たちがかっこいいと思えるものを信じて
この映画を作りました。何よりもそこが一番かっこいいのです!!
我々人類はどこからやってきて、どこへ行くのか。
人類の普遍的なテーマでSF映画の可能性を広げた『ブレードランナー』は
映画史に残る不朽の名作に違いありません。
『ブレードランナー2049』を見る前に、
もう一度見返しておくべし!