7.『2017年映画ベストテン 〜邦画編〜』
前回に続きまして、2017年公開作品のベストテン
今回は邦画編をお送りします。
早速ランキング発表!
2017年映画ベストテン 〜邦画編〜
1.『あゝ、荒野 前編・後編』
2.『全員死刑』
3.『僕らが本気で編むときは』
4.『海辺の生と死』
5.『散歩する侵略者』
6.『帝一の國』
7.『勝手にふるえてろ』
8.『美しい星』
9.『三度目の殺人』
10.『愚行録』
洋画編と同じく、ここから下は10位から順に
私のコメントを書いていきますので、
気になる作品があれば、そこだけでも見てみてください。
第10位 『愚行録』
石川慶が初めての長編作品を監督したこの映画。
ある殺人事件を中心とした人間模様が描かれています。
原作と比べるとだいぶ薄れている部分もありますが、
人間の自己顕示欲の醜さがよくわかる作品です。
映画としてというよりも、出演している俳優たちの演技力が
ざらざら度高めですが、ストーリーも結構面白かったです。
第9位 『三度目の殺人』
とにかく、三隅役の役所広司の演技に圧倒されました。
コロコロと供述を変える三隅に翻弄される弁護士役には福山雅治。
被害者の娘役の広瀬すずは、少し美少女すぎたかもしれません…(笑)
監督は『誰も知らない』の是枝裕和監督。
最近の作風とはまた違った重厚感があり、凄みを感じた作品でした。
ただ、最後の方はかなりあやふやな作りになってきて、
よく分からないまま終わってしまうので、若干消化不良気味です。
第8位 『美しい星』
火星人、水星人、金星人に取り憑かれた家族のお話。
原作は、三島由紀夫著書の中でも異色なSF同名小説です。
それぞれのキャラクター設定とキャスティングがとても秀逸。
一番リアルだったのが、唯一家族の中で地球人のままだった
お母さん(中嶋朋子)。SFかと思いきや、彼女の存在のおかげで
地球滅亡の危機から、家族愛に話が転がっていくのです。
宇宙人がいたとして、彼らから見た地球は、救うべき星なのか。
新しいSF映画を見たような気がします。
第7位 『勝手にふるえてろ』
まず、一言。めっっっっっっっっちゃ、わかるよ!ヨシカ!!
個人的に非常に共感度の高い映画でした。
映画では、原作よりもさらにヨシカのイタさが際立っていて、
面白要素が強まっていました。
10年片思い中のイチと、会社の同僚のニの間で揺れるヨシカ。
松岡茉優にしかできなかった役だと思います。
友達になりたいよ、ってくらい、わかる…。
世の中の報われない女子必見です。
第6位 『帝一の國』
今をときめく菅田将暉主演。そして監督は、CMディレクターとして
活躍する永井聡。他の出演者も若手イケメン俳優のオンパレード。
ただただ、くだらないです。でも、笑えます。
死ぬほどくだらないことを、若手たちが全力で頑張る映画です。
原作とほぼ同じ温度感で映像化しているので
実写化映画では珍しく、違和感なく楽しめました。
そして若手俳優のテンションに負けないくらいテンション高めな
吉田鋼太郎。キレッキレでした、さすが(笑)
内容はないと言えばないのですが、とにかく面白かったです。
第5位 『散歩する侵略者』
人間の体を乗っ取り、次々と”概念”を奪っていきます。
散歩する侵略者(に体を乗っ取られた人間)役は松田龍平なんですが、
あまりにも演技がナチュラルすぎて、この人、もしかしたら
もともと宇宙人なんじゃないの?というくらい(笑)
私たちはいかに”概念”に囲まれて生きているのか考えさせられ、
とても面白かったです。
爆破シーンのB級感はわざとだったのでしょうか…?
第4位 『海辺の生と死』
太平洋大戦末期の奄美大島を舞台に、島で生まれ育ったトエと
島に赴任してきた海軍中尉・朔が惹かれ合う様を描いたこの作品。
思わず、よくぞ二人をキャスティングしたな、と唸ってしまいました。
島の自然もとても綺麗に映し出されていて、全体的に美しい映画でした。
戦時中に生きた若者の苦悩が、痛いほど伝わってきます。
第3位 『彼らが本気で編むときは』
トランスジェンダーのリンコと、リンコの恋人・マキオ、
育児放棄されたマキオの姪・トモの物語です。
決して押し付けがましくなく、自然に描けるのはさすがだな
と思いました。見た後、ここまで素直に心から
「いい映画だった」と言える作品は少ないかもしれません。
リンコ役の生田斗真の徹底した役作りにも驚きました。
少しでも多くの人に見てもらいたい映画です。
第2位 『全員死刑』
福岡県で起こった大牟田4人殺人事件を元して作られたこの映画。
とにかく全てがぶっ飛んでいます。とんでもないです(笑)
詳しいことは、第5回に書きましたが、もしかしたら
2017年で一番映画館で笑った作品かもしれません。
まさに映画評論家・町山氏のいう通り”地獄のサザエさん”です。
番人ウケするとは全く思えませんが、面白いことは確かです。
映画の新しいジャンルを突きつけられました。
第1位 『あゝ、荒野 前編・後編』
原作は寺山修司唯一の長編である同名小説。
主演は菅田将暉とヤン・イクチュンの二人です。
監督は岸善幸、テレビマンユニオンでは是枝裕和監督の同期です。
本当に素晴らしい作品でした。主演の二人が、約300分かけて
弱っちい若者から屈強なボクサーになっていく様が
とてつもなくかっこいい。そして、リアル。拍手です。
いろんな要素が含まれてはいますが、核となるのはやはり
若者の成長物語ではないでしょうか。圧巻でした。
とはいえ、おそらく上位に食い込んでくるであろう2017年公開の
邦画で見逃したのもたくさんあります。
『彼女の人生は間違いじゃない』『今日から世界は君のもの』
『幼子われらに生まれ』(これ見ないでベストテンとか言ってすいません)
『人生フルーツ』『月と雷』『花筐−HANAGATAMI−』
まだまだ2018年の課題は多そう…(笑)
早いところ回収してまいりたいと思います。
では、次はサントラ編で!